2005

今回のオーストリア遠征は、私にとってとても厳しく、でもほとんどのことが初めてで新しい発見がたくさんあり楽しい遠征でした。今回の遠征は私のこの冬のスキーシーズンと次のグラススキーシーズンにおいて大きな影響を及ぼすものになると思っていました。スキーで海外に行くのは初めてで、大会以外で海外に行くことも初めてでした。大会ではないので決められていることの方が少なく自由でしたが、それは逆に自分で多くのことを考え、話し、行わなくてはいけないという事でした。

当初戸惑ったことは、今年マテリアルチェンジをした新しいスキーにうまく乗れなかったことでした。全然自分の思うようにいかず、周りにいる皆がすごく上手に見え、とても悔しくて何度も泣きそうになったりしていました。オーストリアに行って3日目でもう日本に帰りたいと思いました。辛くて日本に早く帰りたいと思う気持ちと、ここで止めたらここで諦めたら今までの自分と何も変わらない、と思う2つの気持ちが常に私の中でありました。

次に困ったことはやはり言葉の壁でした。ドイツ語はもちろん英語もほとんど分からない私は、レストランでもシュピンカ先生にスキーを習う時も困りました。少し前にオーストリアに行くことが決まっていたのに何も準備していなかったことを後悔しました。

そんな辛いこと続きの遠征でしたが楽しいことももちろんありました。まずご飯が美味しかったことは大きな幸せでした。トマトとレバーは食べられませんでしたがオーストリアの食事は基本的に全てのものが美味しかったです。またデザートもめちゃめちゃ美味しかったです。

遠征中休みの日にはMariazellやGraz、Wineに遊びに行きました。歴史的な建物はとても趣があり、感動の嵐でした。クリスマスシーズンでもあり、クリスマスマーケットがたくさんあって、いろいろなものを見てとても楽しめました。

スキーの技術的なこともたくさんのことを学びました。やっていく中で自分が出来ないこと、これからやらなければいけないことが明確に分かりました。

初め3日間HockarとOtcherと言うスキー場でフリースキーをしました。日本のスキー場と違って緩斜面はほとんどなく中斜面、急斜面ばっかりのゲレンデでした。急斜面が苦手な私は初端から大きな壁に激突し、初めの課題になりました。その3日間のあとリリアンフェルトスキー学校のシュピンカ先生と子供たちとの練習に参加しました。シュピンカ先生の生徒たちは、皆スーパーチルドレンばかりで本当にすごいとしか言いようありませんでした。

私はゲート練習の中でも急斜面が滑れないことは大きな課題になっていて、うまくずらしながら滑るテクニックが必要だと思い知らされました。

その後Annabergに移動しました。半日フリースキーをして、休暇をとりました。次の日は1日休みをとってスロベニアとクロアチアに観光に行き、異文化を経験しました。残りの2日間またシュピンカ先生達と一緒に滑りました。

最終日、いつの間にか当初課題とされていた、クローチング滑走が速く滑れるようになっていて、また急斜面も滑れるようになっていました。スキートレーニングと一緒に始めたフィジカルトレーニングも効果がありました。腕立て伏せも、インナーマッスルトレーニングも初日より最終日の方が出来るようになっていました。「きっと今年のシーズンもうまくいく!!」その時初めて思うことが出来ました。日本に帰ってもスキーの練習、フィジカルトレーニング共にもっと頑張ろうと思いました。

今回私のオーストリア遠征を支え手助けしてくれた飛鳥井さん、聡さんいろいろとありがとうございました。お2人から学ぶこともたくさんあって2人から教わったことは私のスキー人生の中で大きな財産となりました。今回オーストリアに行くことが出来て本当に良かったです。ありがとうございました。               ☆ゆきよ☆

飛鳥井匠哉選手のコメント

新谷さんのコメントにある「厳しさ」とは常に自分自身に対して妥協なく真剣に取り組んでいることの現われでしょうか、これからも常識にとらわれず常に上を見て突き進んでいただきたいと思っています。

トレーニングの最中「国立スキー専門中学校の教官シュピンカ氏」は一度だけ真剣な表情で起世ちゃんに言いました。

「スタートをしたらゴールする事だけを考えるんだ。途中はどうでも良い。脚が折れてもコースアウトして立ち木にぶつかっても決して諦めるな。簡単に諦めていて良いほど君には多くのレースは残されていない。」と・・・

たった数日滑りを見ただけで、本人の資質を見抜き、時には勝つために必要なことを真剣に説く。そんな真剣な世界最高峰のスキー文化に触れることができて起世ちゃんは幸せだったと思います。

世界の極東にある日本のスポーツ文化はなぜか「海外」は特別なものとなり、接する機会が少ない事から異種独特の閉鎖感が漂います。そんな土壌から世界でスポーツが出来る事の価値観を見出して、世界に挑戦しようとする起世ちゃんはきっと大変だと思いますが、そのことが出来る価値観を自ら引き上げてこれからもみんなの「夢」となるような「人格」を持ってもらえればと思います。「スポーツ」とはそのような憧れの「人格」を育てるために皆で育んでいく価値のあるものなんだと・・・

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